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パーム油と環境問題

-PETA-
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パーム油 は、世界で生産量1、2を争う植物油です。

1990年代に入り生産高が急増し、2005年には、パーム油の生産量は、はじめて大豆油を抜いて第1位となりました。

マレーシア、インドネシアが2大生産地で、世界の生産量の85%を占めています。


このパーム油の生産現場では、さまざまな環境・社会的問題が生じています。
そして、そのことで、世界の森林生態系や、現地の人々の暮らしや社会に、大きな影響が生じています。


ここで、パーム油とは何かを説明します。

パーム油とは、アブラヤシから取れる油です。
果肉からとる油をパーム油、種子からとる油をパーム核油といいます。
普通、パーム油というときは、この2つのことをさしています。


このパーム油は、マーガリン、即席めんやスナック菓子などの揚げ油、調理用油、洗剤、塗料、インク、化粧品などの原料に使われており、近年は、バイオマス燃料(バイオディーゼル)の原料として注目されています。

また、主に加工食品、外食産業などで使われる安価な植物油として、日本をはじめ世界でその消費量が急増しています。




パーム油の生産時の環境・社会的影響は、大きくは、次の2つの問題に集約されます。

「プランテーション開発に伴う問題」と、「プランテーション操業中の問題」です。


●「プランテーション開発に伴う問題」

・森林生態系の大規模な消失(生物多様性の低下、伐採跡地の放置からなる、森林の消失による生物資源の喪失・動物と人間との軋轢の増加に伴う農作物被害など)

・森林火災

・地元住民の権利侵害(土地をめぐる紛争、先住民慣習的権利の侵害)

・森林に依存している先住民等の経済・文化への影響(環境・社会の不安定化)

・違法伐採の併発


●「プランテーション操業中の問題」

・農薬や化学肥料による土壌や河川の汚染

・土壌浸食

・労働問題(低賃金、農薬被害、児童労働、不法就労など)

・搾油段階・加工段階での廃液および残渣による水質汚染

・廃液および残渣からのメタンガス発生・大気中への放出(地球温暖化の加速)


では、これらの問題をもう少し詳しくみていきます。


植物 森林の大規模な消失と生物多様性

オイルパーム・プランテーションは、大面積を必要とします。

一般的に、経済的操業のためには、少なくとも4,000ha、(東京ドーム855個分)が必要であるといわれています。

そして、パーム油の原材料となるアブラヤシは、地球上でもっとも生物多様性が高いといわれる低地熱帯雨林で栽培され、ここはオランウータン、スマトラトラ、ボルネオゾウ、サイ、マレーバクなどの、絶滅に瀕している大型哺乳動物の残り少ない生息域となっています。

1985年から2000年までの間のマレーシアによる森林減少の約87%は、プランテーションの開発によるものとの報告があります。

インドネシアにおいても、オイルパーム・プランテーションの少なくとも7割が森林を転換(開発)したもので、国立公園などにも拡大が生じています。


しかも、原生熱帯雨林がプランテーションに転換されると、8割〜10割の哺乳動物、爬虫類、鳥類が消失するといわれています。

こうした開発に伴い、生息地を失ったゾウ、オランウータン、トラ、イノシシなどが、人間を襲ったり、畑を荒らすトラブルになっています。

人間と野生動物が衝突し、スマトラ島では、農民がゾウを殺害するという事件が相次いでいます。



植物 森林火災

多くの企業は、安上がりな整地の方法として、火を使って開拓を行ってきました。
最初に開拓・整地を行って苗を植える際にも、植え替えの際にも、火が使用されることがあります。

1997年から1998年に、インドネシアで発生した大規模な火災のうち、46〜80%がプランテーション企業の敷地内で発生しましたが、このうち4分の3がオイルパーム・プランテーションにあたります。

この火災は、整地のための火入れから生じたものであると指摘されており、地元社会と企業間の対立により生じたと考えられるものもあります。


1997年には、インドネシアで、火入れによる整地が法律で禁止されましたが、依然として違法な火入れが行われ、それが森林火災を引き起こしているといわれています。



植物 地元住民の権利の侵害

プランテーション開発に当たっては、土地をめぐる紛争が多く生じています。

開発される土地の多くは、先住民族が暮らす、もしくは利用してきた土地・森林です。

たとえ正式な土地権利に関する書類を持っていなくても、その慣習的な権利は、国際的に、あるいは国内法で認められているものです。

しかし、現実には、その権利は無視され、土地の利用に関する適切な調査をしないで、あるいは、事前の説明・協議がなされないまま、進められることが多くなっています。


また、先住民族、地元住民が所有または使用している土地であっても、開発の際には、その権利が認められず、補償もされないケースもあります。

先住民族は、土地の権利証書や利用している土地の境界を示す地図をもたないため、裁判では不利になります。


インドネシアでは、土地の権利を主張した地元住民が負傷したり、死亡したりしています。

また、開発において、村人の意見が賛成と反対に二分し、時としてコミュニティ内部で分裂・対立が生じることもあります。



植物 労働問題

低賃金労働、危険で劣悪な労働環境、苛酷なノルマ、児童労働、健康被害、不法労働者の搾取、多発する事故などの問題などが指摘されています。

マレーシアにおいては、プランテーションは最も事故の多い産業セクターとなっており、その原因は、パームの実を収穫する刃物、農薬の暴露などによるものです。



植物 農薬汚染

パーム油の生産に際し、先進国では使用を禁止されている除草剤パラコートなどの薬品が使用されています。
そのため、周辺地域の汚染およびプランテーション労働者や周辺住民に健康被害をもたらしています。

農薬及び化学肥料の不適切な使用は、土壌汚染や水質汚染、周辺生態系への影響も引き起こし、食物連鎖への影響も懸念されています。

パラコートは毒性の強い除草剤で、特に、農薬散布を行ったり、農薬を散布したばかりの農地で働く労働者は、危険にさらされています。
軽作業の農薬散布を担当するのは多くは女性労働者であり、その被害として、鼻血、眼・皮膚・爪の障害、潰瘍の発生などが挙げられ、不妊や奇形児などの問題も起こっています。






このように、パームオイルの生産過程では、さまざまな環境・社会面での問題が発生しています。
熱帯の環境は傷つけられ、野性動物はすみかを失くし、厳しい労働生活を強いられている人がいます。

私たちの身の回りにあふれているパームオイルの影には、こうした犠牲が隠されています。


この様な問題点をふまえ、様々な国際NGO、地元NGOが問題解決へ向けた提案を行っています。

持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)は、2005年11月、持続可能なパームのための基本方針を採択しました。

これには、「透明性の確保」「環境に対する責任と自然資源・生物多様性への配慮」「労働者と被影響コミュニティに対する責任ある対応」「新規プランテーション開発の際の責任(環境・社会アセスメントの実施、土地権利、環境面への配慮など)」などが含まれています。


私たちは消費者として、「持続可能なパームオイルがほしい」と声をあげることができます。

私たちは、自分達の持っている力をきちんと活用すべく、何が本当に環境に優しいのか、持続可能なのかを判断するため、原材料の調達過程までをも考えていくことが必要になってきています。



消費の見えない陰に隠された現実を、私たちは知ることが大切です。
また、そうしたことを知る努力を怠ってはいけない、そういう時代に私たちは生きているのだということを自覚することが必要です。



<参照>
http://www.gef.or.jp/report/GreenSourcing2006/02palmoil.
 pdf#search='パーム油 環境破壊'





地球環境問題について / 2008.03.09 Sunday 23:18 | 
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