S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
<< November 2019 >>






































<< 残酷すぎる!高齢の雌のマレー熊「ウッチ―」が暴行死した円山動物園 | | モダナークファームカフェ☆ベジアリアンプレート♪葛プリン♪ >>
市民金融機関の力〜お金の使い方と、使われ方
JUGEMテーマ:家庭





マガジン 『望星(ぼうせい)2014.10月号』特集 「みんながトクする投資」から。

田中優さんがインタビューに応えた内容を、ご紹介します。
↓  ↓  ↓


【転載】***********



『市民による市民のための市民金融機関のチカラ −お金の使い方と、使われ方−』
●その1


■無理に決まってる!

NPOバンク「未来バンク事業組合」(以下、未来バンク)を設立したのは二十年前になります。

バンクと名はついていますが、いわゆる銀行ではありません。貸企業の登録を受け、「環境に優しい事業」「福祉」「市民運動」の三つに限って融資を行なう、市民による市民のための市民金融機関です。融資を受けられるのは出資をした組合員だけというシステムになっていて、出資金は一口一円で一万口以上が加入条件になります。

始めた当初は、NPO仲間から、「そんな夢みたいなこと、無理に決まってる」と冷ややかに受け取られたものです。出資金を拠出してもらっても、ATMで引き出せるわけでもないし、配当もゼロ、そんなものに出資する人などいるはずないじゃないかと(笑)―−−。

でも、設立二十年を迎えた未来バンクは、二〇十四年三月末時点で、組合員数五百十三人、出資金は一億六千万円を超え、融資総額は約十億六千万円となりました。
いま全国に十四のNPOバンクがあります。もはやNPOバンクは、"夢"と揶揄される存在ではなく、立派な市民運動になったと思います。


初めから市民金融機関を作ろうとしていたのではありません。もともとは原発への異議申し立てがあったのです。きっかけは一九八六年のチェルノブイリ原発爆発事故。事件の直後、生後三ヵ月の息子が喘息などで体調を崩し一週間入院したのですが、もしかしたら関係あるのではと関心を抱き、環境問題を考えるようになりました。

当時はチェルノブイリ事故の影響で、全国的に反原発の市民運動が展開され、とくに八八年四月の「原発とめよう!一万人行動」では、東京の日比谷公園に全国から約二百五十団体二万人もの人が集まり、すごい熱気でした。


でも、原発への反対運動は一年も経つと全国的に失速しました。痛感したのは、「原発は危ない」と、単純に危機感を煽る運動は続かない、もっと日常的で、生活に密着した問題意識から出発した運動にしなければということです。

そこで開始したのが「リサイクル」、いわゆる資源回収です。当時はアルミ缶など一キロ百円以上で売れました。

ところがアルミはすぐに一キロ三十円まで暴落します。鉄など、一キロー円で売れていたのが、逆にこちらが二十円払わないと引き取ってくれない逆有償が始まりました。

なぜなんだ?−―この疑問が未来バンク設立につながるのです。


■貯金・預金の行き先への疑問

調べてわかったのは、リサイクル品の値段が落ちる背景には、同時に新品の値段が落ちているといるという事実がありました。つまり、安い新品のアルミが入ってくれば、リサイクル品は買い叩かれるしかない。

なぜ新品のアルミがどんどん入ってくるのか?答えは意外でした。アルミはあちこちの途上国で作られているわけですが、工場を稼働させる電源のための発電用ダムは、日本のODA(政府開発援助)で造られていた。ブラジルのツクルイダム、インドネシアのアサハンダムなどです。

しかもダム建設を受注するのは日本企業。そしてODAとはいっても、円借款プロジェクトで、つまり相手国にとっては借金なんです。これが国際援助なのかと疑ってしまいました。


そしてODAは「財政投融資」制度のもとに成り立つことを知りました。
財政投融資‐‐‐−初めて聞く言葉だったので、財政投融資と名のつく文献を片っ端から読んだのですが、驚きました。

その財源は、郵便貯金や年金だったからです。

当時、郵便貯金や基礎年金、簡保の簡保の残高は五百兆円以上もありましたが、財政投融資のもとでは、そのお金は全額、当時の大蔵省の資金運用部に預託され、資金運用部がそのお金を「特殊法人」に融資していたんです。

たとえば、大反対の中、建築された長良川河口堰を運用する「水資源開発公団(現・水資源機構)」、不必要と思われる地域にも高速道路を造り続ける「日本道路公団(当時)」、赤字確実といわれても建設されたアクアライン(車京湾横断道路)の「東京湾横断道路株式会社」、ナトリウム漏れ事故を起こした「もんじゅ」の「動力炉・核燃料開発事業団(現・原子力研究開機構)、新幹線建設の「旧・国鉄」、ほかにも大型ダムや空港、スーパー林道、リゾート開発など、僕たちが環境問題の視点から反対してきた事業を展開する事業者にに融資されていたんです。


原発のことも調べてみました。これにもやはり財政投融資が使われていました。
原発の燃料のウランを買うため「日本輸出入銀行」に融資され、輸入ウランの濃縮や核燃利加工、そして原発建設や再処理のために「日本開発銀行」に融資されていました。青森・大間崎に建設される大間原発を管轄する「電源開発株式会社」にも融資されていました。


多くの市民運動は、日本の環境や自然を真剣に守るべきだといろいろな場面で異議申し立てをしてきました。巨大ダムができると知れば「大型ダムによる自然破壊反対!」と運動を起こし、原発建設には「原発反対!」と叫び、リゾート開発にも「反対!」と、意思表示をしてきたけれど、なんのことはない、諸々の環境破壊事業の根っこは貯金だったんです。

右手では「環境破壊反対!」「原発反対!」と拳を上げながら、左手では環境破壊や原発建設に手を差し伸べていた。そして、そんな事業者経由で貯金の利子を受け取っていた。

その利子にしたって、腹立たしい。当時、財政投融資は、単年度で約四十兆円(国の一般会計は約七十兆円)もの巨額予算を動かしていたのですが、特殊法人が原発やダムを造るたびに公共料金は値上がり、タダになるはずだった高速道路は世界一の高額料金となり、長良川河□堰は水が売れないため税金で維持され、ニ十八兆円もの国鉄債務は税金で返済されることとなりました。
結局損をしている。


銀行などの貯金も調べました。これも同じです。銀行に貯金されたお金は、銀行でじっと眠っているのではない。大手銀行の融資先を調べればわかりますが、原発建設を推進する企業や、環境破壊につながる大型開発に関わる事業を行なう企業がずらりと並んでいます。


●その2

■問われる預金者のモラル

未来バンクを設立したころ、東京の「安全信用組合」「共和信用組合」の二信組が破産しました。二信組は、事業の六割がゴルフ場などリソート開発で、バブル崩壊とともに経営も崩壊しましたが、二信組の経営を支えていたのは、他金庫他銀行よりも高金利だと群がった預金者でした。

日本の個人貯蓄は一千二百兆円。これを眠らせている金融機関はありません。
預けた金は当然ですが必ず使われています。預けた本人は貯蓄と思っているのでしょうが、実際は金融機関によって投資されている。それが自らの意に沿わないものへの投資である可能性は非常に高い。

もう原発はイヤだと思う人は多いと思いますが、そうした人の預貯金は原発推進企業に白紙委任で投資されていたりする。日本の自然環境をこれ以上壊したくないと強く思っている人の預貯金も、大々的に自然破壊に加担する企業に融資されていたりする。


最悪の事例が戦争でしょう。
太平洋戦争では国家予算以上のお金が戦費に投入されましたが、原資は郵便貯金でした。日本はいま戦争をしていませんが、アメリカの軍事行動を貯金で支えている面がある。

アメリカは財政も貿易も赤字で、赤字額はイラク戦争開戦直前の二〇〇二年末で約三百兆円と天文学的なのに、イラク戦争やアフガニスタン紛争で五十兆円ともいわれる戦費を投入しています。

それを可能にする一つは、日本人の貯金です。銀行貯金をすると、銀行はその貯金を日本銀行に預けます。すると日本政府は国債の一部である「政府短期証券」を発行してそのお金を借り、ほぼ全額をドルと両替し、アメリカ国債を購入するのです。

日本はいままで約百兆円のアメリカ国債を購入していますが、借り換えが操り返されるだけで、アメリカからは一円も戻ってきません。いうならば、日本人が汗水たらして稼いだお金は、知らぬまに、いちばん望まない戦争に投入されているということになります。


■いいものはないのか?

金融機関は大手であるほど、福祉や環境保護といった事業に融資をしない、これも問題だと思いました。

貯金をなんとかしなければと、グループKIKIの会報に原稿を書いたのが出版社の目に留まって、『どうして郵貯がいけないの』の出版につながりました(一九九三年)。

そうしたら読者から、「では、どこに貯金をしたらいいのか?」との問い合わせが来た。僕が勧めたのはタンス貯金か労働金庫。労働金庫は大企業には融資をしませんから、悪くはない。そうしたら、「『悪くない』じゃなくて、いいものはないのか?」と質問が来る(笑)。

仲間と考えました。そして「必要なのは、自分たちのお金を自分たちでコントロールする場だ」という意見でまとまったんです。
それが未来バンクにつながった。


未来バンクのパンフレットにはこう書きました。

「出資金は元本を保証するものではありません。リスクを皆で共有するものですから、貸し倒れが発生したときなどには、元本を割り込むこともあり得ます」

配当もなければ、元本そのものも減っていく可能性を強調した。で、NPO業界ではいっせいに白い目で見られた(笑)。

当時あるNPOで金融研究部門も立ち上げていたので、そこの事務所の一角を未来バンクに貨してもらえないかと打診したら、「貸金業者に事務所を貸すわけにはいかない」と断られました。金貸し=汚いと思われていたわけです。
「そんなのやっても無理」とか「配当ゼロでいったい誰が金を出してくれるんだ」といった批判も飛び交いました。

そこで四人が百万円ずつを出して、一九九四年四月に未来バンクを立ち上げました。やがて新聞報道や口コミで徐々に組合員が増えて、三カ月後には五十人から計一千二百万円の出資が寄せられた。

融資第一号は、ソーラー発電、風力発電、自然エネルギー商品を扱う事業者の組合「レクスタ」を通じての、三人の市民のソーラーパネル設置でした。レクスタの担当者は、「趣旨です、趣旨!自分たちの頂けたお金を、自分たちで環境事業に融資するという万針は実に明解」といって評価してくれました。嬉しかったですね。


●その3

■融資の決め手は「信頼」


いま、活動は口コミ中心で伝わり、熱帯林破壊を招いている商業伐採での輸入熱帯材を使わない家屋の建設、NPO事業、フェアトレード支援、ソーラーパネル設置、精神障害者の自立スベースづくりなどに融資されています。

もちろん大金を扱う以上、融資には怖さがあります。実際、これまで数件ですが、返済不能や返済の遅れといった案件もあります。でも、実感するのは、こちらの思いに、融資を受けた方々か応えてくれることです。


なぜ既存の金融機関が融資しようとしない事業者からきちんと返済されるかというと、答えは簡単で、「信頼」です。信頼する友人から借金をしたら真っ先に返しますよね。
それは友人からの信頼を裏切ってはいけないからです。

融資前の審査では、いちおう保証人や資金繰り表も必要とはしますが、たとえば山梨県の女性が始めたパン屋さんは、無添加のパンを広めたいという熱意と「絶対返済する」という決意を信用して融資しました。相手も、未来バンクの活動趣旨への信頼から申し込んできた。

そのうちにあちこちでNPOバンクが設立されました。ミュージシャンの坂本龍一さん、ミスターチルドレンの桜井和寿さん、プロデューサーの小林武史さんの三人が立ち上げた「ap bank」もその一つです。

二00二年でしたか、坂本さんが提唱した、環境や社会を考えるAP(アーティスト・パワー)運動の勉強会に呼ぱれたんです。APは、原発からの電気ではなく、発電用風車を造って、その下でコンサートをやろうといった話をしていました。

問題になったのは風車の建設資金。NGOを作って一般市民から資金を集める、銀行から融資を受けるといった案が出ましたが、小林さんが、自分たちの有名性だけで、何の信頼関係もない一般市民からお金を集めるのは達うと言ったんです。そこで、「未来バンクのように、自分たちでパンクを作って出資を募ってみたら?」と提案したんですね。

最初は「バンク?それはないでしょ」と思われたのですが、自分たちのお金をいいと思うことに預けられる点に可能性を感じたようで、「一過性のイベントではいけない。バンクしかない」と決めてくれました。小林さんと桜井さんが出資し、未来バンクも全面支援することでapbankが始まりました。二〇〇四年、第一回融資として、環境重視の事業十六件に総額四千万円以上の融資を実行したと記憶しています。融資した案件は、大学構内での放置自転車の整備と貸し出しへの十万円のプロジェクトから、自然エネルギー設備構築の五百万円とさまざまですよ。


■三百年もつ家を

今力を入れているのは「天然住宅バンク」です。化学物質を使わず、国産材だけで仕上げる住宅ですが、質のいい木を育てる林業家、化学物質を使わずに建設を請け負う設計者や工務店が協働して、持ち家やアパートなどを造っています。この住宅は人気があ
り、住宅見学会は盛況です。

基本設計で三百年はもちますからね。日本の住宅の多くは、新築から十五年も経つと資産価値がゼロになる家ばかりですが、天然住宅は十五年経ってもゼロにならない。
中古でも人気があります。

「天然住宅バンク」は、こういった住宅や環境に負荷をかけない家具などを購入したい人に上限三百万円で融資するバンクです。NPOバンクなので、出資して組合員になってもらうのが第一条件です。


僕の最初の外国旅行はマレーシアの熱帯林でした。そこで日本に丸太を輸出するために乱伐される森林破壊の現状を見ました。以来、熱帯林を守るのは、日本の森林資源を活用することだと常々思っていました。

ただ、天然住宅は木の質もいいことに加え、シロアリに食われないように低温乾燥や木酢液処理など職人の技が加わっているので値段がやや高い。「あと二百万円あれば買えるのに」とあきらめた人もいて、なんとかそういう人のために購入できる方法はないものかと考えてきたのですが、今年ようやくそのシステムをお披露目できた。

たとえば一千五百万円の天然住宅の物件があるとします。これに住みたいバンクの組合員がいれば、バンクは、上限の三百万円を融資します(残り一千二百万円は従来のローンなどを併用)。

そこからバンクに返すのは、二%の金利分である年六万円だけ。十五年間はそれでオーケーです。十五年経ったら、元本を返すのもいいし、人に売ってもいい。また、バンクが三百万円で引き取ってもいい。既存の住宅なら築十五年で売ると価値はゼロなので、逆に更地にするために、解体費用に約三百万円を支払わねばなりません。

つまり、既存の住宅よりも六百万円も得するシステムです。人気があるので、今後は天然住宅を買いたい人の予約リストを作り、空き物件が出たら随時情報を回すようにします。つまり、仮に十五年住もうと思えば、土地代プラス三百万円の十五年分の金利の九十万円だけでいい。

住宅がいい状態を保つため、五年に一度は車検ならぬ「家検」を行ないます。その費用も、年六万円の金利返済を利用します。つまり本人負担ゼロ。これなら、十五年経つと価値がゼロになる家を造る既存の住宅メーカーにも勝てると思うんです。




▼マガジン 『望星(ぼうせい)2014.10月号』
特集 「みんながトクする投資」 より
http://www.tokaiedu.co.jp/bosei/contents/1410.html

※田中優がインタビューに応えたものを、発行元の編集者が文章にしたものです。


【転載 ここまで】




口では戦争反対といっても、貯金が戦費に流れるのなら、戦争がすすみます。環境破壊も同様です。
平和が大事だと言っても、現実になるのはおカネで表現したことだとしたら、おカネではない世界にするために自分のおカネの使徒を選んでいかなければなりません。

買い物をする時に、選ぶことで、無農薬で努力する農家を支援することも、途上国で働く人を助けることも、環境や人々を痛めつけることを止めることができます。その接点で自分の思いを表現できたなら、おカネとエネルギーの使い方が、社会の仕組みを変えていくことを実感できるでしょう。


自分が社会を作る側にまわるような、そんな生活との接点を大切にしていきたいですね。


 

世の中の知ってほしいこと | ねこまる | 22:56 |
スポンサーサイト
- | スポンサードリンク | 22:56 |